拍手お礼SS
「戦闘服」L月(キラ)
「月くんは料理するんですか」
「何、藪から棒に」
「いえ・・・月くんは何をしても器用なので」
「まぁ・・・人並みには」
「そうですか」
真っ黒な瞳で男が見つめてくる。
「何か作って欲しいの」
「言ったら作ってくれますか」
「・・・モノによるけどね」
ああ厭な予感。
厭な予感。
「で?」
「・・・ホットケェキを」
「・・・・・・ホットケェキ・・・」
「ホットケェキです」
「ホットケェキ・・・」
「はい」
それくらい自分で作れよと言いたいけれど。
言ったら作れないのですかと絶対返ってくる。
それは・・・・・・・・むかつく。
「・・・・・・いいよ」
「ほんとですか」
「うん、でも材料ないよ」
「ワタリに持ってこさせますから少々お待ちを」
ああやっぱりそんな展開。
我が身の好戦的気質を呪う。
程無くして材料一式を手渡される。
「・・・じゃあ作るから待っててよ」
「はい、お待ちしてます・・・・・・あ」
「・・・何」
「月くん、これを」
「・・・何」
「戦闘服です」
「・・・・・・・・は?」
渡されたものを広げれば。
それは。
「・・・・・・・・エプロン?」
しかも新妻仕様。
要するに、ふりふり。ぴんく。
「竜崎・・・何の冗談」
「私真剣です」
「・・・へぇ」
「キッチンで料理といったら、戦闘服はやっぱりエプロンです」
きっと似合います。
「・・・・・・・ああ、馬鹿?」
「早く着て下さい」
ああ、このためだけにホットケェキとか言ったんじゃないのかコイツ。
「早く着て、作ってください」
人差し指をくわえて上目遣いで僕を見るな。
この蛙。
「月くん、早く」
でもここで断ったら、コイツに敗けたことになるのか。
第一了承した手前、断ることはプライドが許さない。
・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・美味いか」
「ええ、美味です」
「それは良かった」
「ええ。・・・それと」
お似合いです、月くん。
「ははは、もしそれに毒が入ってたらどうする?」
「私、イチコロですね」
ほんとに入れればよかった。
Lと月(キラ)。
キッチンに戦闘服=新妻エプロン。
あなたは何でも似合うから。
*ブラウザを閉じてお戻り下さい。