*注:ヨツバの事件直後(火口が死んだ後)キラは竜崎の手により捕まり、その後竜崎の屋敷にて監禁されているという前置きがあります。(ワタリも生きてる設定)
○ 「ダウト。」 Lキラ
退屈をしていた。
何をするでもなく、ただただ閉じ込められて。
しかし、そんな折。
唐突に。
ふ、と。
「あぁ、そういえば」
思い出した。
内線の電話をかける。
「ワタリさん?ちょっといいですか」
竜崎の面白い顔を見れるかもしれない。
夜神月はふふふと笑った。
扉の上部に付いているランプが点滅した。
ランプはワタリが来たことを伝えるものである。
食事の時間でもなく、呼んだわけでも無いのに何故ワタリが来るのか。
厭な予感を感じながらも、手元のコンソールパネルを操作して、扉の鍵を解除する。
すると、案の定。
「やぁ、竜崎」
竜崎は一瞬動きを止め、扉の方を見た。
そこにはワタリではない人物。
この屋敷のもう一人の住人が立っていた。
その突然の登場に動揺しながらも、それを隠し、再び資料に目を落とす。
「月くん、どうかしましたか」
「暇だからゲームでもしないかい」
月がふふふと笑っている。
ふ、と。
彼から嗅ぎ慣れない甘い香りがした気がして。
傍らに置いてあるチョコレィトを摘み上げながら、月の顔を上目遣いに見た。
「・・・私は忙しいのですが」
気のせいだろうか。
そう思いつつも、摘み上げたチョコレィトを口に放り込んで舌の上で転がす。
すると、彼は笑って。
「馬鹿だな。僕が、暇なんだ。お前の話なんかしてないよ」
即答した。
しかもかなり強引な理由である。
思わず溜息を吐いてしまった。
そして、資料の束を持ったまま椅子を回転させ月に背中を向ける。
「竜崎」
「・・・月くんの暇つぶしに付き合っても私にメリットがあるとは思えないですしそれに、」
「ああ、あのね。言い忘れてたんだけど」
竜崎の言葉を遮って、月が楽しそうに喋る。
ああ・・・また甘い香り。
ケェキの、ような。
「・・・何です」
「実はね、この暇潰しは賞品付きなんだよ」
思わず、頭だけ振り返ってしまった。
ああ、まずい。
明らかに彼の策略に嵌っていっている。
「賞品・・・」
ああ。
やっぱり厭な予感が的中しそうだ。
月が、キラが。
あんなに。
「お前が一番欲しいんぢゃないの」
楽しそうに笑ってるだなんて。
「・・・賞品は、何なんですか」
「聞くからには僕の暇つぶしに付き合ってもらうことになるけど」
いいの?忙しいんでしょう、お前。
ふわりと香る甘い匂い。
この匂いに反応することが分かってて、彼はこの匂いを付けたまま来たのか。
何とも言えずにチョコレィトを口に一粒放り込む。
彼が笑顔で「お前が一番欲しいもの」というのだから。
ああ、きっとこの答えで間違いないのだ。
「どうするの?」
うふふ。
月が哂った。
Lキラ。
言葉八文目の聡様に相互リンクお礼です。よろしかったら貰ってやってください。
今回を入れて計三回分になる予定です。
最後まで御付き合い頂けると幸いです。
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