「ヒル魔さん・・・どこにいるんだろ・・・」
てか、みんな居ないし。
とある、まだ比較的綺麗な廃屋。
「みんなズタボロだな・・・」
「・・・っスね」
そういう石丸自らもズタボロなのだが。
ちなみにモン太は、まだあのタキシードを着ている。
シリは諦めたらしい。
「「「・・・・・・・・・」」」
ハァハァ3兄弟などは話をする前に逃げられたため、喋る気力さえ無いらしい。
「アハ☆疲れたね・・・」
「うむ」
激しく崩壊した桜庭と進にいたっては無言を通り越して、更なる新天地を発見したようだ。
「じゃ、モン太君、解散しようか・・・」
「・・・そっスね。早くオレも休みたいっス・・・」
机にアゴを乗せたまま、モン太は頷く。
「じゃあ、解散しまっス。お疲れさんした・・・。
次回の会議は2週間後のココでやり・・・」
「Ya−−Ha−−!!!!!!!!」
ドガシャーンっっ!!!!!
派手な音を立てて扉が吹っ飛んだ。
『・・・・・・・・・っ?!!!!!』
あまりの異常事態に顔を見合わせる一同。
「今の声って・・・」
「ま、ままままさか・・・?!!」
バラダダダダダダダダダっ!!!!!!
「うわっわわわわっ?!!!」
部屋の中は一気に銃弾の嵐。
しかしそれは突然止まり、代わりに笑い声が響いてきた。
「Ya−Ha−!ぎゃははははっ!!!おい、テメェらっ全員居るな?!」
「ヒ、ヒル魔、何でココに・・・?!」
マシンガンを抱えたまま辺りの顔ぶれを見回すヒル魔に、思い切って石丸が訊ねる。
すると、ヒル魔がジャキンと銃を構え直し、悪魔的に笑った。
「ぁん?オレ様にバレねぇとでも思ってたのか?頭沸いてんじゃねぇのかっこの糞野郎供っ!!!」
バラダダダダダダダダダっ!!!!!!
『うわぁああああああっっっ!!!!!!!』
突然、銃弾がピタリと止んだ。
「怪しい会員制クラブ、創りやがって」
「あ、怪しいって・・・どうやってこの場所を・・・」
「テメェらに仲間はずれにされた、三宅が喋ったぜ?ま、その前から苦情が出てたがな」
ヒル魔が笑った。
そして脅迫的な口調で話し出す。
「実はなァ、この廃屋、近々壊すんだとよ」
「・・・・・・へ?」
それが、何なのであろうか。
みな、顔を見合わせる。
ヒル魔はそれを見ながら、懐からケータイを取り出した。
「あー、やってくれ」
ピッ。
ケータイの通話を切って折りたたみ、ヒル魔が一歩後ろに下がった途端。
ミシミシッ・・・というイヤな音がした。
パラパラと埃が落ちてくる。
「え、まさか・・・」
「う、ううううそだろ?!」
「え?え・・・・えぇえっ??!!!!」
悪魔が笑う中、果たして一同の上にクレーンの先と共に天井は落ちてきたのだった。
「あ!ヒル魔さんっ!!!どこ行ってたんですか?」
部室に向かって歩いてくるヒル魔を見つけて、セナは嬉しそうに駆け寄った。
「おー。ちゃんと行ってきたか」
「はい、これです」
笑顔でヒル魔に、持っていた袋を渡す。
それを受け取ったヒル魔は、袋の中をゴソゴソと探り出した。
「そういえば、ヒル魔さん」
「あー?」
「その中身・・・何なんです?軽かったですけど・・・」
最初にお金と一緒に渡されたメモには、実は、買ってくる物では無く、買ってくる場所しか書いてなかったのだ。
だから中身をセナは知らなかった。
ヒル魔は中身を確認すると、セナに袋を差し出した。
「ほれよ」
「へ?」
「テメェにやるよ。さっさと開けてみやがれ」
言われるまま袋の中身を見てみる。
そこには紙袋。
「い、いいんですか・・・?」
「あぁ」
袋から紙袋を出す。
小物が入るくらい大きさの小さい紙袋である。
テープを剥がし開けてみると、そこには。
「チェーン付きの指輪・・・?」
それが、二つ。
その片方をヒル魔が横から奪った。
「ペアリングだ。テメェはそんままだと失くすんだろ?どうせ」
しばらく固まったままだったセナは、次第に顔を赤く染めて、ヒル魔に微笑んだ。
「ヒル魔さん、誰よりも大好きです」
「ふん、当たり前だ」
誰が何と言おうと、それは変わらないのだ。
「あれ、みんなはどうしたの・・・?」
翌日のこと。
部活に来てみたら、まもりと栗太しか居なかった。
「んー・・・何か、みんな、怪我で来れないらしいのよ」
「みんなどうしたんだろーねぇ・・・」
「そうなの?・・・昨日見たときはみんな元気みたいだったけど・・・」
するとヒル魔が入ってきた。
「あ、ヒル魔さん」
「おぅ」
いつも通りに声をかけてみると、いつも通りに返って来た。
さっそく訊ねてみる。
「・・・というわけなんですよ。どうしてか知ってます?」
小首をかしげ訊ねるセナに、まもり達も「そうそう」と相槌を打つ。
ヒル魔はPCを取り出して、起動し、キーボードに指を滑らせながら口を開いた。
「さぁな」
「そうですよね・・・知りませんよね・・・」
セナは溜息を吐く。
すると突然、ヒル魔が「あぁ、そういえばな」と言った。
「?何ですか?」
「学校の隣に建ってた廃屋が、解体されたとよ」
「へぇ、そうなんですか?」
「次は何が建つのかしら」
「甘味屋さんだといいなぁ」
キーボードを叩きながら、ヒル魔がケケケと笑った。
そんなヒル魔を見て、セナは首を傾げたが、気にしないことにした。
性悪な悪魔の首と、純粋な少年の首には、同じリングが下げられている。
ギャグが、最後微妙にシリアス薄味?
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